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つまり、銀行等の金融機関以外の団体・個人が、実際の通貨を対価として電子マネーを発行し、これをまた通貨に兌換できる場合には出資法も含めた見直しが必要となる。

 

紙幣類似証券取締法 第1条(発行・流通の禁止)

一様ノ形式ヲ具へ箇々ノ取引ニ基カスシテ金額ヲ定メ多数ニ発行シタル証券ニシテ紙幣類似ノ作用ヲ為スモノト認ムルトキハ主務大臣ニ於テ其ノ発行及流通ヲ禁止スルコトヲ得

?A 前項ノ規定ハ一様ノ価格ヲ表示シテ物品ノ給付ヲ約束スル証券ニ付之ヲ準用ス

 

金融先物取引法附則 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締に関する法律第2条

業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。

2 前項の「預り金」とは、不特定且つ多数の者からの金銭の受入で、預金、貯金又は定期積金の受入及び、借入金その他何らの名義をもってするを問わず、これらと同様の経済的性質を有するものをいう。

3 主として金銭の貸付の業務を営む株式会社(銀行及び証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十七項に規定する証券金融会社を除く)が、社債の発行により、不特定かつ多数の者から貸付資金を受け入れるときは、業として預り金をするものとみなす。

 

諸外国の対応を見てみると、ドイツの銀行法改正案では、銀行以外の業者が電子マネーの発行等の業務を行う場合には銀行免許が必要であると規定しており、実質的には電子マネーの発行等は銀行のみに限られている。ただし、電子マネーの発行業務のみを行う場合には、一般の銀行業務を行う場合に比べて監督・規制の内容も緩和されている。また、英国ではオリジネータと呼ばれる、銀行とは異なる電子マネー発行専門の法人が発行業務を行っているが、オリジネーターに対する出資は銀行に限定されている。

一方、米国では電子マネーが発展途上にあることから民間のイニシアティブを削ぐような監督・規制は好ましくないとの見方も出ている。

b) 対抗用件の問題

電子マネーの債務履行方法が預金払戻請求書であるとみなせば、民法第467条により指名債権譲渡の対抗用件として確定日付のある通知または、承諾を要する。また、自己あて小切手とみなせば、小切手としての要式具備(小切手法第1条)や支払呈示期間の問題(小切手法第29条)が生じる。また、前払式証票(プリペイドカード)とみなせば、前払式証票の規制等に関する法律(プリペイドカード法)では特定の加盟店における代金の弁済を前提としており、電子マネーが想定するような単なる送金や加盟店が受け

 

 

 

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